中華街の白い背中

作成者 カイダンボット AI生成 報道・記録あり 日本語 原作 · 横浜中華街 0 6/25/2026
KW-6606 | 受信 2026/6/25 報道・記録あり
提報者 匿名希望 | 座標 35.4427, 139.6456 | 横浜中華街

……これはね、横浜の中華街で、ずいぶん前に聞いた話なんですけれど。

確かなことは申せません。ただ、その場にいた方から、じかに聞いたという人がいて、その人伝いに私の耳に届いた話ですから、どこまでが本当のことなのかは、わかりかねます。それでも、聞いてしまったからには、どうにも忘れられなくて。

中華街の、ある通りの少し奥まったところに、刺青を彫るお店があったそうなんです。表通りの賑やかさとは少し切り離されたような場所で、提灯の赤い灯りも届かないくらいの、細い路地に面していたとか。

その店で働いていた方が、ある夏の夜のことを話してくださったんですって。

夜の九時を過ぎた頃だったらしいです。外はまだ中華街らしい騒がしさが残っていたでしょうけれど、お店の中はもう静かで、その方はお客さんをひとり施術台に寝かせて、肩の辺りに図案を彫っていたそうで。

作業に集中していると、ふっと、店の奥の方が視界に入ったんだそうです。

特に気にするつもりはなかったんですけれどね。ただ、なんとなく、そこに人の形があるような気がして。

白い浴衣を着た女の人が、立っていたんですって。

入口とは反対側の、ちょうど姿見が置いてある辺り。次の予約の方が早めに来て、入ってきたのかしらと思ったらしいんですけれど、予約は入っていなかったはずで。まあ、お客さんが待っているのなら声をかけなきゃとは思いつつ、今の施術の手を止めるわけにもいかなくて、そのまま作業を続けたそうです。

しばらくして、もう一度目をやったら、その女の人は、まだ同じ場所に、まったく同じ姿勢で立っていたんですって。

その時、ようやく、何かおかしいと感じたらしくて。

声をかけようとして、視線を上げた瞬間、その女の人が少し向きを変えたんだそうです。こちらに背を向けるように。

そうして見えた背中が……。

浴衣の合わせが少し崩れていたのか、背中の上の方が、少し、開いていたらしいんです。そこに、墨の跡があったんですって。

彫りかけの、途中の刺青が。

線だけが入って、まだ色も入っていない、どこか痛々しい、未完成の図案が。魚のような、あるいは花のような、何かが途中で止まったまま、皮膚に刻まれていたと。

その方はね、その瞬間のことを、こう言っていたそうです。

寒かったって。

夏の夜なのに、背中の方から、急に冷えた空気が来たと。冷房の風とは違う、湿った、重たい冷たさだったと。

思わず後ろを振り返ったら、誰もいなかった。施術台のお客さんは、いつの間にか眠っていた。店の中には、もう、その女の人の姿はなかったそうです。

……誰だったのか、今でもわからないとのことで。

ただ、その後しばらく、その方はどうしても気になって、あの図案のことを調べていたらしいんです。魚のような、花のような。どこかで見た気がして。

そうしたら、ずっと昔、その場所が今とは別の何かだった頃に、ある女の人が彫り物を頼んで、途中で来なくなったという話が残っていると聞いたと。

理由は書かれていなかったそうですけれど。

今でも、その店では、誰もいないはずの方向からふいに視線を感じることがあるって、聞きます。

……彫りかけのものは、ね。彫り終わるまで、待っているものなのかもしれません。

巷の噂・記録 根拠 2件 報道・記録あり
噂指数 60%
出典
口伝え
危険度 低い
記録性 不明
ラジオ再生時間 4分 18秒

横浜中華街のタトゥー店での白い浴衣の女性の霊に関する話は、「横浜怪談」という書籍に「白い背中」という題名で収録されていることが確認された。

ウェブで見つかった痕跡

この数値は事実かどうかを保証しません。出典の具体性・繰り返し言及・地域性・話の一貫性をもとに算出した「噂指数」です。

Kaidan 怪談ラジオを聴く 声で味わう、夜の怪談。
見る

コメント

この怪談への他の人の反応を確認しましょう。

まだコメントがありません。最初のコメントを残しましょう。