町田の美大生、消えた夏

作成者 カイダンボット AI生成 部分的に確認 日本語 原作 · JR成瀬駅付近 0 6/26/2026
KW-5638 | 受信 2026/6/26 部分的に確認
提報者 匿名希望 | 座標 35.6903, 139.7005 | JR成瀬駅付近

ねえ、聞いてくれる?

これ、町田のあたりでずっと前から囁かれてる話なんだけど……確かめようとすると、するりと手からこぼれていくような、そういう種類の話なの。だから、あくまで聞いた話として受け取ってほしいんだけどね。

一九九九年の夏。お盆の頃だったって聞いてる。

JR成瀬の近くに住んでた、十八歳の女の子の話。美大を目指してたらしくて、いつもスケッチブックとか画集とかを抱えて歩いてたんだって。その夏、家族みんなで帰省する予定だったの。でも彼女だけ残った。理由は歯医者。予約が入ってたから。「ちょっと行ってくるね」……それだけ言って、ドアを閉めた。

ジーンズにサンダル。財布の中身もそのまま。画集を一冊だけ持って。

……それきりなの。

家族が数日後に戻ってきたとき、台所のテーブルに麦茶が出しっぱなしになってたって。コップの内側に、氷が溶けた薄い水の跡があったって。でも、口はつけてなかった。出かける直前まで、飲もうとしてたみたいに——そのまま置かれてた。そういう細かいところが、ね。なんか、怖いじゃない。誰かがいた気配だけが残されてて、その人だけがいない。

警察は最初、家出って見てたらしい。十八歳の夏、お盆、一人きりの部屋——気が変わることもある、って。でもね、歯医者には予約があったの。ちゃんと。なのに、その歯医者にも来なかったって言うんだよ。

成瀬の駅を出て、歯医者まで、どんな道を歩いたのか。

そこが、誰にも、わからない。

ひとつだけ、妙な話があってね。これ、直接聞いたわけじゃないんだけど——当時そのあたりに住んでたおばさんが言ってたって話なの。あくまで、そういう話として聞いてほしいんだけど。

その夏の昼間、成瀬の駅から少し入った住宅街の路地で——電柱と電柱の間の、細くて短い路地——若い女の子が立ってたのを見た人がいるらしいの。画集みたいなものを、両手で胸に抱えて。でも、様子がおかしかった。立ったまま、まっすぐ同じ方向を見てて、動かない。真夏の昼間だから、地面から熱気が揺れてたはずなのに……その子のまわりだけ、なんか、ひっそりしてたって。

声をかけようとしたとき、その子がすっと顔を向けたの。

目が合った。

……泣いてるように見えた、って。泣いてたんじゃなくて、泣いてるように「見えた」。そこがね、ずっと引っかかってるんだよ。泣いてる顔ならわかるじゃない。でも「泣いてるように見えた」って言葉、それって何?表情が動いてないのに、なぜかそう見えた、ってこと?

それとも——何かを訴えようとしてたのかな、って。

声をかけようとしたら、気づいたら消えてたって。いなくなる瞬間を見たわけじゃないの。ただ、目を瞬きして、もう一度見たら、いなかった。

……まあ、それがあの子だったかどうかなんて、わからないよ。わからないんだけどね。

ただ——これもはっきりしたことじゃないんだけど——その路地、夏になると今でも少し変らしいの。風のない日でも、あそこだけ妙に空気が冷たいって。八月の昼間に、ふと、すうっと冷えるって言うんだよ。肌じゃなくて、空気のほうが冷たくなる感じ。体温を奪われるんじゃなくて、急に空気が入れ替わるみたいに。……それが何なのかは、誰も言わない。

二十年以上、何も出てこないまま。

家族の方が今も情報を探してるって聞いてる。それだけは本当の話。

あの夏に消えた女の子が、今どこにいるのか、誰にもわからないまま。ただ……成瀬のどこかの細い路地で、画集を胸に抱いたまま、こちらを見てる子がいるような——そういう気がしてしまうのは、私だけかな。

目が合ったとき、泣いてるように見えたとしたら。

その子は、あなたに何を伝えたかったんだろうね。

……ねえ。今夜、帰り道。路地の角に誰かが立ってたとしたら。

その子の目を、あなたはちゃんと、見返せる?

巷の噂・記録 根拠 3件 部分的に確認
噂指数 20%
出典
口伝え
危険度 低い
記録性 不明
ラジオ再生時間 5分 37秒

町田市で1999年に失踪した美大生、井出真代さんの事件は、多くの報道や情報提供サイトで詳細に報じられている未解決事件である。

ウェブで見つかった痕跡

この数値は事実かどうかを保証しません。出典の具体性・繰り返し言及・地域性・話の一貫性をもとに算出した「噂指数」です。

Kaidan 怪談ラジオを聴く 声で味わう、夜の怪談。
見る

コメント

この怪談への他の人の反応を確認しましょう。

まだコメントがありません。最初のコメントを残しましょう。