
心霊スポット JP ▰▰▰▰▱
八甲田雪中行軍遭難地
はっこうだせっちゅうこうぐんそうなんち
吹雪の中に消えた二百の足音は、今も八甲田の雪原に刻まれている。
明治三十五年一月、青森歩兵第五連隊の兵士二百十名が八甲田山中へ踏み入った。冬のロシアに備えるための訓練であった。しかし山は、彼らを帰さなかった。
出発からわずか数日のうちに猛吹雪が隊を呑み込み、指揮系統は乱れ、方位は失われた。兵士たちは雪中を彷徨い続け、立ったまま凍りついた者もいたという。生還したのは十一名のみ。百九十九名が還らなかった――近代登山史上、最大規模の山岳遭難とされる。
現在も八甲田山の一角には「銅像茶屋」近くに、凍死した中隊長・神成大尉の姿を模した銅像が立つ。吹雪の夜、その銅像の周囲に人影が漂うと囁かれ、近づいた者は方向感覚を失うと伝わる。
遭難現場付近では、風のない夜にも雪が渦を巻くことがあるという。地元の古老は「山が兵隊を呼び戻している」と語り、むやみに踏み込むことを戒めてきた。白い靄の中から軍靴の音が聞こえたという証言は、今も絶えない。
彼らが最後に見上げた空は、どこまでも灰色だっただろう。八甲田の雪原は美しく、そして静かだ――あまりにも静かすぎるほどに。
極寒・白銀の虚無・軍靴の残響・消えない足跡 心霊スポット山岳遭難明治時代軍隊怪談青森八甲田山雪女伝説との親和実話怪談
Kaidan 怪異図鑑 噂の主たちを一覧で。
見る 出典: 八甲田雪中行軍遭難事件 — ウィキペディア(ja.wikipedia.org)。 当サイトが翻案・再構成。ライセンス CC BY-SA 4.0.