
心霊スポット JP ▰▰▰▰▱
犬鳴峠
いぬなきとうげ
犬が鳴き止まぬ夜、峠を越えようとした者は、翌朝には見つからない。
福岡県宮若市と糟屋郡久山町の境に横たわる山峠。かつては「久原越」と呼ばれていたこの地に、いつ頃から「犬鳴」の二文字が刻まれるようになったのか、正確な経緯は今も霧の中に沈んでいる。
古文書『犬鳴山古実』には、滝の前で立ち尽くした狼が、越えられぬ壁を嘆いて泣き続けたと記されている。別の説では、山があまりに深く険しいため、犬でさえ泣き叫びながら引き返したという。いずれにせよ、この地を満たす「鳴き声」の記憶は、名前の由来として語り継がれてきた。
江戸期の地誌類に犬鳴山の名が現れるのは元禄年間のこと。藩命により移り住んだ足軽たちが拓いた集落の菩提録に、その地名は静かに書き込まれた。彼らが久山の社へ奉納した手水石は、今も苔に覆われたまま、拝殿の脇に立っている。
1975年に新犬鳴トンネルが開通するまで、峠道はヘアピンカーブと狭隘なトンネルが続く難所であった。その旧道沿いには夜ごと不審な灯りが揺れるという噂が絶えず、「一度入ったら帰れない」という言い伝えが口から口へと伝わってきた。現在も旧トンネル周辺は立入が制限されており、その静けさがかえって人の想像を刺激し続けている。
犬の鳴き声が聞こえる夜は、峠に近づかぬほうがよいと、地元の古老たちは今も語る。それが獣のものか、あるいは別の何かのものか、確かめに行った者の話は、あまり聞こえてこない。
霧深い山中、旧道の闇、断ち切れた鳴き声 心霊スポット峠福岡県旧道トンネル怪異事故物件アクセス不能区域
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出典: 犬鳴峠 — ウィキペディア(ja.wikipedia.org)。 当サイトが翻案・再構成。ライセンス CC BY-SA 4.0.