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怪異・クリーチャー ▰▰▰▰▱

テケテケ(肘掛け女)

てけてけ/ひじかけおんな

深夜の踏切近くで、アスファルトを引っ掻くような規則的な音が近づいてくるとき、絶対に振り返ってはならない。

北の果ての駅で、ある夜、女が線路へと落ちた。極寒が彼女の血を縫い止め、即死を許さなかったという。駅員はブルーシートを掛け、夜が明けるまで放置した――そう囁かれている。女は助けを求める声を誰にも届けられぬまま、ひとりで朝を迎え、そして逝った。

彼女の怨念は下半身を失ったまま固定され、両肘で地を押して這い進む姿となって現れるようになった。移動するたびに「テケテケ、テケテケ」と乾いた音が鳴る。それが名の由来だと言われる。足を探しているのではない――見捨てた人間そのものへの憎しみが、彼女を動かし続けている。

「カシマさん」と同一の存在として語られることもある。下半身を持たぬ女という輪郭が重なるためか、あるいは呪いの伝播の仕方が似ているためか。噂の中では二つの名が混じり合い、どちらとも判然としない何かになっていく。

この怪異には古くから決まった構造がある。まず悲劇の起源が語られ、聞き手の胸に恐怖が積み上がったころ、静かに付け加えられる一言がある。「この話を聞いた者のもとにも、やがて音が聞こえてくる」と。怪談としての完成度よりも、その一文が持つ感染性こそが、テケテケを今日まで生かしてきた。

噂は今も学校の廊下や深夜のSNSを這い回る。誰かが語るたびに微妙に形を変え、発祥の地も、女の名も、駅の名もぼやけていく。それでも「テケテケ」という音だけは変わらない。どんなバリエーションでも、その音だけは残る。

凍てつく夜気・アスファルトの摩擦音・感染する恐怖・孤絶した怨念 都市伝説亡霊踏切下半身欠損這いずり呪いの伝播カシマさん北海道
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出典: テケテケ — ウィキペディア(ja.wikipedia.org)。 当サイトが翻案・再構成。ライセンス CC BY-SA 4.0.