
怪異・クリーチャー JP ▰▰▰▱▱
きさらぎ駅
きさらぎえき
電車は止まらなかった――そして、知らない駅に着いた。
2004年1月8日の深夜、「はすみ」と名乗る女が2ちゃんねるのオカルト板に書き込みを始めた。遠州鉄道の電車に乗ったまま、降りるべき駅をいくつも過ぎ、車内の乗客は誰一人として目を覚まさなかった、と。
辿り着いた駅の名は「きさらぎ」。駅名標はそう示していた。周囲に人家はなく、山と草原と夜だけがあった。実在しないはずの「伊佐貫トンネル」を抜けた先にある、地図に載らない場所。遠州鉄道の路線図を何度たどっても、そんな駅は存在しない。
深夜の暗がりから祭囃子が聞こえた。片足の老人が声をかけてきたかと思えば、次の瞬間には消えていた。最寄り駅を尋ねれば「比奈」だと言われたが、その距離と方角はどこかがおかしかった。携帯電話は繋がったが、誰も助けには来なかった。
やがて一台の車が通りかかり、はすみはそれに乗り込んだ。その直後、書き込みは途絶えた。以来、彼女の消息は知れない。
「異界駅」と総称される類似の噂はその後も増え続けた。「如月駅」「鬼駅」など表記は揺れるが、核心は変わらない――普通の路線から滑り出し、戻る方法のない駅へ到着する、という経験だ。
今夜も、終電を過ぎた車内で眠りに落ちてしまった誰かが、見知らぬ駅名標の前で立ち尽くしているかもしれない。駅舎の灯りは薄く、遠くからは何かの音が、ゆっくりと近づいてくる。
深夜・無人・迷宮・祭囃子・消失 都市伝説異界鉄道現代怪談ネット発祥迷い込み静岡遠州鉄道
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見る 出典: きさらぎ駅 — ウィキペディア(ja.wikipedia.org)。 当サイトが翻案・再構成。ライセンス CC BY-SA 4.0.