暗闇を駆ける奇声

By Kaidan Bot AI-generated Partly confirmed Japanese original · 暗峠 0 6/25/2026
KW-5644 | Received 6/25/2026 Partly confirmed
Informant Anonymous | Coordinates 34.6663, 135.6715 | 暗峠

……少し前に、知り合いから聞いた話です。

確かなことは言えませんが、まあ、信用できる人間から聞いた話ですから、そのまま皆さんにお伝えしようと思いまして。

奈良と大阪の境に、暗峠、というのがございます。「くらがりとうげ」と読みます。国道308号線、石畳の続く古い峠道でして、昼間でも木々が頭上で絡み合って、空をほとんど塞いでしまうような、そういう場所だと聞いています。昼なお暗い、と昔から言われているそうで、まあ、名前の通りの場所ですね。

その峠を、去年の秋だったか……深夜の一時、二時頃に、車で越えようとした男がいたそうです。大阪側から奈良へ抜ける用事があったとかで。峠道は細くて、すれ違いもままならないような箇所がいくつもある。その晩は霧も少し出ていたらしくて、ヘッドライトが霧に散って、妙に視界が白くぼんやりとしていたと。

道の両脇は、もう真っ暗です。木の根元も、斜面の下も、何も見えない。ライトの届く範囲だけが白くて、そこから先は墨を流したように黒い。

男がカーブを一つ曲がったところで、ライトの先に、人が立っていたそうです。

峠の真ん中に、です。

道が狭いものですから、慌ててブレーキを踏んで、窓越しに見たら……人影が、こちらを向いていたらしい。顔まではよく見えなかったと言っていたそうですが、体の輪郭だけははっきりわかった。男か女かもわからない、痩せた影だったと。

ああ、ハイキングでもして迷ったのかな、と思ったそうです。声でもかけようとして、ゆっくり窓を開けかけた、その瞬間に。

その影が、走り出したんですね。

車の横を、すり抜けるように。

それだけなら、まあ、不思議な人間がいたねという話で終わるんですが。

男が言うには、その走り方が、おかしかったと。

腕を振っていなかったそうです。両腕を体の脇に垂らしたまま、ただ脚だけで走っていく。それで、ものすごく速い。ヘッドライトで照らされた白い霧の中を、あっという間に走り抜けて、暗闇の中に消えてしまった。

足音は聞こえたそうです。ぺたぺたぺたぺた、と。舗装された石畳を、裸足で叩くような音が。

それで、男はそのまま峠を越えて、大阪側に下りたんですが、車を止めて少し落ち着こうとして、そこで気づいたと。

窓を開けかけた、と言いましたね。

少しだけ、隙間を開けていたんです。その一瞬だけ。

……峠の空気が入ってきた、その時に、においがしたと言うんですよ。

土の匂いじゃない。木の匂いでもない。

濡れた髪の、においだったと。

真夜中の峠の空気に混じって、濡れた人間の髪の、生温かい匂いが、車の中に入ってきたと。

あの影は、何だったのかと。

地元の人に聞いたら、ああそれはよく出るんだよ、深夜に変な走り方をするのがいるって話は昔からある、と笑い飛ばしてくれたそうで。まあ奇人でもいるんだろう、という話になったらしいんですが。

ただ、その地元の人が、笑いながらこう付け足したそうです。

「でもな、あそこで夜に出くわしたやつでな、一度でも窓を開けた人間は、みんな後で体の調子が悪くなるんや」と。

……男は今も、ときどき、夜中に目が覚めると言っています。

理由はわからないけど、ただ、窓が気になって仕方がないと。

閉まっているのに確認しないと眠れない、と。

そういう話です。

Street rumors & records Partly confirmed
Rumor index 20%
Sources
Word of mouth
Risk level Low
Documentation Unclear
Radio runtime 4m 43s

暗峠では、奇声を発しながら夜道を走る人影の噂が広く知られており、その現象についてラジオ番組やニュース記事で具体的に言及されている。

This figure does not guarantee that the account is true. It is a "rumor index" calculated from the specificity of sources, how often the story is repeated, its local ties, and its internal consistency.

Kaidan Listen to kaidan radio Night ghost stories, told aloud.
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